報道によると、SMICは上海の新興企業Yuliangshengが開発した深紫外線(DUV)リソグラフィシステムを試験している。初期の試験結果は有望で、半導体産業における中国の自立性向上に向けた取り組みにおいて大きな前進となるだろう。
国産DUVリソグラフィシステムの技術的詳細
この国産DUVリソグラフィシステムは、オランダのリソグラフィ大手ASMLが使用しているものと同様の液浸技術を採用しており、主に28nmプロセスノード向けに設計されている。マルチパターニング技術を用いることで、理論上は7nmクラス、さらには5nmクラスのチップ製造が可能だが、歩留まりは比較的低い。情報筋によると、このDUVリソグラフィシステムの主要部品は国産化されているものの、一部の部品は依然として輸入に頼っているという。Yuliangshengは現在、欧米技術への依存度をさらに低減すべく、完全な自主生産体制の構築に取り組んでいる。
玉良盛の会社概要
上海玉良盛科技有限公司は、深圳に拠点を置く半導体デバイスメーカー、鑫莱科技(シンカイライ)の子会社であり、登録資本金は10億人民元です。2022年に設立された同社は、ファーウェイの半導体エコシステム内に位置し、半導体デバイスの研究開発と製造を専門としており、特にリソグラフィー技術に重点を置いています。同社の支配株は、深圳鑫莱科技有限公司と創科微電子(上海)科技有限公司がそれぞれ50%ずつ保有しています。同社は、ファーウェイ、上海微電子、清華大学などと技術提携を結んでいます。
事業化に向けた課題とタイムライン
初期のテスト結果は有望なものの、新しいDUV装置は、量産に必要な安定性と歩留まりを達成するには通常、少なくとも1年間の継続的な調整が必要です。 SMICは2026年までに生産能力を3倍に増強する計画です(原文はunwire.hk)。しかし、増産分の大部分は依然として既存のASML製DUV装置を活用します。国産装置は早ければ2027年に量産開始される見込みですが、試作から量産への移行、そしてASMLとの競争開始には数年かかる見込みです。
戦略的意義
この技術革新は、中国が半導体製造装置の国産化を目指す取り組みにおいて重要な節目となると考えられています。米国による対中技術輸出規制が強化される中、国産DUVリソグラフィー装置の試験が成功したことで、中国の半導体産業はより独立した選択肢を持つことになります。量産化が成功すれば、中国は米国の輸出規制を回避し、高度なAIチップの生産能力を高めることができるでしょう。